2022/11/05

どうして思考が思考を静かにすることができるでしょうか?

2022年9月4日ミーティング
37:42ぐらいから。

カット:(オンライン参加者のうちの)何人かからコメントが入っています。30人ぐらいの人がオンラインで参加しています。ターニャからです。思考がやってきて、起こっていることに不満を言っているように見えても、問題はありません。そして彼女はこう言っています。この思考がいまだにやって来て、緊張や収縮が現れるということは、いまだに「私」を信じているということであり、探求を終わらせるために、もっと満足のいく考えを求めているということです。今彼女は大声で笑っています(lol)。探求を終わらせて、最終的にそれが何であるかをはっきりさせたいのです。そこで質問です。でも、それが何であるかがわかりません。そして、平和以外に何を見る必要があるのかわかりません。このことで何かコメントしていただけますか?

ボブ:まず第一に、彼女は「問題ではない」(doesn’t matter)と言いました。matter(物質)は何か堅固なものです。精神と物質がありますが、それは分割されたものではありません。精神は本質です。自然な生命の本質、純粋な実在です。でもそれが堅固なものになると、それは物質となります。あたかも液体、水が氷になるように、物質、何か堅固なものになるようなものです。思考が問題となる時(When thought matter:思考が物質となる時)、それが問題となります。私たちは実際には問題には固着していないのですが、固着していると思っています。離れていてください。それはそのままにしておいて。固着させないで。固着させて問題を作らないで。それをあるがままにしておいてください。そうすればそれは自然と動いていきます。

カット:ええ、すばらしい。ターニャは強調しています。思考が現れて、それが何らかの反応を引き起こし、体の中に緊張を引き起こします。彼女は、別の思考がやってきて、その思考を止めてくれないかと思っています。彼女は、満足できる考えが探求を止めてくれないかと言っています。そこで彼女は、l-o-l (laugh out loud:大笑いしている)。彼女は笑っています。どうして思考が思考を静かにすることができるでしょうか? 

ボブ:ええ。私たちは、何ものにも固着していないということを理解してください。生は動いています。人々はやって来て、去っていきます。仕事が現れ、変化します。すべては絶えず変化して束の間のものです。私たちはそれを固定し、そこに留めようとします。そしてたくさんのトラブルを抱えることになります。

カット:そしてまた時々、(最初に)思考がやってきて、(そのあとで)体が反応するというやり方ではないことがあります。時々、激しい反応の動きが体の中にすでにあって、そこへ思考がやってきて、それを正当化します。例えば、体のどこかに荒い怒りのエネルギーがあって、そこへ思考、物語がやって来て、あいつのせいだ、彼だ。彼が俺を怒らせた。

でも、真実はエネルギーがここ(体を指さして)で動いていて、たとえば何か天気とかホルモンとか食べたものとか何かのせいかもしれません。私たちが知っているリベットの有名な実験のように、おおよそ0.5秒後にマインドがやって来て主張するのです。最初に衝動がやってきます。赤ちゃんを見ると、彼らには実際にはまだ思考はありません。彼らの泣きたいという衝動や笑いたいという衝動が体に現れるのです。

動物には観念的な思考がありません。でも自然な激しい衝動があります。(携帯の質問を見て)もしそこに何らかの収縮や何らかの反応があるなら、それは思考に対するものかもしれません。それは環境によって触発されたものかもしれないし、単に荒いエネルギーが思考によって(後から)解釈されたものかもしれません。いずれにしても、もしあなたが自然な世界をもう一度見ると、そこには収縮と拡張があります。

ボブが言うように、心臓や肺。あるいは季節の循環。すべてのものにはサイクルがあります。そのため、妨害されない、確かな至福の喜びの状態というようなものはありません。というのも、もしそんな状態があったら、あなたはそれを認識することも気づくこともできないからです。

気づいたり、認識したり、しなかったりできるものは、何か他の反対のものか中立のものをバックグランドとして現れる必要があるからです。そのため、中立の自然な状態には、喜び、苦しみという要素がありません。喜びと苦しみ、収縮と拡張はそれの上、あるいはそれの中、認識する意識の空間にやってきます。そこが、全世界が遊ぶ場所、ステージです。

ボブ:これを見て。(ボブの左手が小刻みに震える) 私はそれに固着していません。もし私が固着して、これを止めようとすると、もっとひどくなります。そのままにしておきます。そうすると治まります。(手の震えが止まる)

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この会話を掲載したのは、カットが「リベットの有名な実験のように」と言ったからです。私がリベットの実験を知ったのは、前野隆司さんのYouTubeを偶然見たからです。そのあとで、横田南嶺老師経由で佐々木閑先生が、下條信輔先生(リベットの本を翻訳)無我の説明で引き合いに出されたと聞きました。

下條先生がリベットの実験の本を翻訳されたのは2005年7月です。カットが引き合いに出すぐらいだから、このリベットの実験は、スピリチュアルの世界ではかなり有名な話なんですね、きっと。

2022.12.12追記
カットは、彼女の著書SAILOR BOB: Bags of pointers to nondualityの中(書籍版p273,R-Rationality)でも、リベットの実験について触れています。