マインド・タイム ベンジャミン・リベット 下條信輔/安納玲奈[訳]
脳はなぜ「心」を作ったか・錯覚する脳 をブログに書いた時、リベット博士の実験が出てきた。そこで、リベット博士の実験を詳しく知りたいと思い、この本を読みました。読みましたというより、字面を追いましたと言った方が正確かもしれません。
というのも、難しくて途中から理解できないところがあちこちに出てきたからです。
お手上げといった方がいいと思います。でも、まったく何も書かないよりは書いた方がいいだろうということで、少しだけ書いておきます。
この本でリベットが言っていること
①人間の脳は0.5秒遅れて物事を感知している。
患者の脳のある部分(一次体性感覚野の表面)に電極を設置して、そこへ電気刺激を与えます。その部分は、体の対応する部分の情報が送られてくる場所なので、そこを刺激すると、体の対応した場所がチクチクするそうです。そこへ電気刺激を与え続け、患者が何秒後に体の反応を感じるかを測定します。すると、0.5秒間刺激を与えると、やっと反応を感じるそうです。そのことから、人間は刺激を受けてから、0.5秒後にやっとそれを感じているのだといいます。ところが、意識はその0.5秒の遅れをなかったことにして、0.5秒前にずらして、刺激を受けた時に刺激を感じたように調整しているのだそうです。
患者の脳のある部分(一次体性感覚野の表面)に電極を設置して、そこへ電気刺激を与えます。その部分は、体の対応する部分の情報が送られてくる場所なので、そこを刺激すると、体の対応した場所がチクチクするそうです。そこへ電気刺激を与え続け、患者が何秒後に体の反応を感じるかを測定します。すると、0.5秒間刺激を与えると、やっと反応を感じるそうです。そのことから、人間は刺激を受けてから、0.5秒後にやっとそれを感じているのだといいます。ところが、意識はその0.5秒の遅れをなかったことにして、0.5秒前にずらして、刺激を受けた時に刺激を感じたように調整しているのだそうです。
②リベットの実験
実験そのものは、YouTube「人間に自由意志はあるのか」の2:00~5:00、もしくは前野隆司さんのYouTube「意識は幻想か?」の33:00~43:00を見てもらえばわかります。(数字的に多少違う部分もあるが、おおむね本の内容に沿っています)
実験そのものは、YouTube「人間に自由意志はあるのか」の2:00~5:00、もしくは前野隆司さんのYouTube「意識は幻想か?」の33:00~43:00を見てもらえばわかります。(数字的に多少違う部分もあるが、おおむね本の内容に沿っています)
簡単にまとめると、人間の行動は、「脳が指を動かす指令を出す→指を動かそうと思う→指を動かす」という順にやっていて、指を動かそうと思う前に筋肉が動き始めているのだそうです。言うなれば、無意識の方が先に行動を始めているということ。
具体的には、指を動かそうと思うのは、実際に指が動く0.2秒前で、指を動かせと脳が指令を出すのは実際に指が動く0.55秒前というのが実験結果です。要するに、指を動かそうと思う0.35秒前に、脳から指を動かせという指令が出ている。そこで、人間には自由意志がないのではという話になる。
具体的には、指を動かそうと思うのは、実際に指が動く0.2秒前で、指を動かせと脳が指令を出すのは実際に指が動く0.55秒前というのが実験結果です。要するに、指を動かそうと思う0.35秒前に、脳から指を動かせという指令が出ている。そこで、人間には自由意志がないのではという話になる。
③人間に自由意志はあるのか
これが私が一番知りたかった点ですが、リベットは自由意思があると言っているのか、ないと言ってのか読み取ることができませんでした。いったん決めた行動を途中で取り消すだけの時間はあり、自由意思はあると言っているようにも思えますが、そのあたりが読み取れませんでした。
これが私が一番知りたかった点ですが、リベットは自由意思があると言っているのか、ないと言ってのか読み取ることができませんでした。いったん決めた行動を途中で取り消すだけの時間はあり、自由意思はあると言っているようにも思えますが、そのあたりが読み取れませんでした。
④翻訳した下條さんは自由意思があると思っているのかないのか
これがまた読み取れない。解説で下條さん個人の見解を述べてみえるので、正確に引用させていただきます。
p324から
なお、わたし自身の立場は、「自由意志は、真正のイリュージョン」というものだ。この「真正」にポイントがあり、「自由意志はリアルで実体がある。ただし、他の知覚・認知と同等の身分で」というのと、ほぼ同じ主張だ。また神経科学的還元論・決定論がどんなに進んでも、自由意志(センス・オブ・エージェンシー)は消えない、と論じた(詳しく下條(2014年)参照)。
この本は途中まで読んでわからなくなったので、また最初から読んで、またわからなくなったのですが、とりあえあずわからないまま最後まで読みました。これは翻訳が悪いのではなく、リベットが素人にもわかるように書いていないというのが問題ではないかと思います。使ってある用語がよくわからないし、何が言いたいのかもよくわからない。ゆっくり何回も読めばわかるかというと、そうとも思えないないので、この本はお蔵入りさせます。
2022.12.12追記
カットは、彼女の著書SAILOR BOB: Bags of pointers to nondualityの中(書籍版p273,R-Rationality)で、リベットの実験について触れています。