2022/06/29

寂しい生活・岸本葉子の「俳句の学び方」・俳句、やめられません・俳句上達9つのコツ・子供と楽しむ俳句教室・俳句特訓塾

寂しい生活 稲垣えみ子

セイラーボブの教えを学んで、「私」も「世界」も幻想であるとわかって、世俗的な欲求を追い求めなくなりました。中野孝次の「清貧の思想」や、加島祥造の「求めない」にあるような生きたかをしたい、また、佐々木閑先生や横田南嶺老師の話を聞いて、欲望を追い求めないことこそが幸せでいる秘訣だと思うようになりました。

そんな折、ネットのコラム(AERAdot.)をふとしたきっかけで読み、稲垣えみ子さんを知り、興味がわいて読んでみました。私はほとんどテレビを見ないので知らなかったが、この人は情熱大陸やニュースステーションに出たことがあり、結構有名な人らしい。

元朝日新聞の記者、論説委員。東日本大震災の時、原発事故の責任は自分にもあるのではないかと考えるようになり、節電を始める。初めのうちは家電品を減らすことから始め、とうとう洗濯機も冷蔵庫もTVも処分。最後には月の電気代が150円に。お風呂もやめて銭湯へ。ガスも契約しておらず、カセットコンロで調理。冬は湯たんぽと火鉢で生活。

そういう生活を始めると、それが不便ではなく、むしろ喜びであるとわかったいう。そして、それまで自分がいかに不要なものに囲まれて生きてきたかを悟る。そこから、服や靴など、要らないものを処分。

そして最終的に、仕事も不要なのではないかという思いにいたり、朝日新聞を退社する。そうして手に入れた生活が、不便どころかむしろ幸せなのだという。自分が、いかに不要な物を追いかけて生きてきたのかわかったのだという。

私も、物がたくさんなくても生きていけるということは知っているし、それが幸せとは比例しないのも知っている。世界を旅した二年の間、私の荷物は機内持ち込みできるキャスターバッグ一個分の荷物だけだった。それでも服が多すぎるとわかり、途中でいくつか捨てたくらいだった。洗濯はシャワーの時に手で洗っていたので、洗濯機などなくても生活できると知っている。でも、冷蔵庫やガスがないとちょっと困る。

いずれにしても、物が幸せをもたらすというのは幻想だと思う。そして稲垣さんは、見事にそれを証明してみせた。私は「欲望を追わない」生活を実践する者として、できる範囲で、ほどほどに稲垣さんを見習って生活していこうと思う。それこそが幸せでいる秘訣だと思う。

本の冒頭にある詩が素晴らしので紹介させていただきます。

人世、いろいろあった。
頑張ってきたんだけどね。
どこまでいっても心配ばっかりなんだ。
で、いろいろあって、いろいろ考えて、
大切にしてきたものたちに
ちょっとずつ、別れを告げることにした。

贅沢な消費。
電気。
持ち物。
ガス。
水道。
広い家。
そして会社。

残ったのは取るに足らない自分。
そして、
小さな、
寂しい生活。

一人になることは怖い。
でも頑張って、一人になってみたんだ。
それはどうしてだったのか、今となってはよく思いだせない。
……いや考えてみたら、これまでだってずっと一人だったんだよね。
でも一人だってことを認めたくなかった。
だから一人じゃないふりがしたくて
いろんなものも手に入れて身の回りを飾った。

同じように一人じゃないふりがしたい人たちと仲間になった。
楽しかった。
笑って、努力して、喧嘩して、傷つけ合いもした。そうして長い時間を過ごした。
でもやっぱり、結局は一人なんだってことに気づいたんだと思う。
だから、仲間の元を離れることにした。
寂しいてことと、きちんと向き合ってみることにしたんだ。

そうしたらね、何が起きたかっていうと
いやこれがもう、本当に笑っちゃうようなことになったんだ。

一人になれるなんて頭の中だけのこと。
いやもうさ、誰も一人にしちゃくれないんだよ。
みんながね、もうみんなが、寄ってたかって世話を焼いてくる。
で、変な話、それは人間だけじゃなかったりする。
鳥とか虫とか微生物とか、あるいは風とか、太陽とか。
さらには自分の中に眠っていた力みたいなものまでムクッと起きてきちゃったりして。
もううるさいくらいにね。

(あんまり転載すると叱られるので途中省略)

小さな、寂しい生活。
でね、それがね、
もしかすると最高の生活なんじゃないかって
思ったりするわけです。

この本はいろいろと考えさせられる本でした。

岸本葉子の「俳句の学び方」 岸本葉子
NHK俳句の司会の岸本葉子さんが、参考になったことを書きとめておいたものをまとめたものを10の格言と57の技としてまとめたもの。大変参考にはなったが、具体例が少なくてイマイチか。巻末に、詠みたい内容をタネとして描写したあと句にするという作業をやっているページがあり、そのやり方が参考になった。

p146から
タネ 夏休みの行楽地では、ケチャップの小袋を持参して、歯で開封する。
原句 ケチャップの袋歯で切る夏休み
推敲 ケチャップの袋嚙み切る夏休み

俳句、やめられません 岸本葉子
岸本さんの俳句にまつわるエッセイ集。入門者向け。季語の大切さ、句会に出ることの重要性が中心に書かれている。句会に出るつもりのない人にはあんまり参考にならないかも。あるある俳句(類想など)はとても参考になった。私は、やってはいけない定番あるあるをたくさんやっていて、まだ初心者の域を出ていないということがわかった。

俳句上達9つのコツ 井上弘美
コツにしたがって添削する構成になっているが、添削前の方がいいような句もあり、どうも納得いかず。結局、俳句もアートなので、ノーハウを学んでもいい句はできないとわかった。絵を描くときに、描き方の本を読んでも上手にならないと同じ。たくさんいい絵を見て、あとはたくさん描くしかない。もう俳句のノーハウ本を読むのはやめた。

子供と楽しむ俳句教室 金子兜太
句のみ音読。

俳句特訓塾 ひらのこぼ
句のみ音読。この本は俳句を作るヒントを与えてくれる点がよかった。