私がロンダ・バーンの「ザ・シークレット」を読んだのは、2007年頃だと思います。私の住んでいる街の小さな書店でも山積みになって売られていました。すぐに引き寄せ本だとわかったのですが、当時とっても苦しい状況にあった私は、キャッチ―なタイトルにつられて、またしても引き寄せ本に引き寄せられてしまいました。当然、何も状況は変わらず、いつものごとく、本は処分しました。
詳しい内容はまったく覚えていません。そこで図書館でロンダ・バーンの本を五冊借りてきました。
ロンダ・バーンはWikipediaによると、1951年生まれの72歳(日本語版Wikiは1945年生まれになっているが、英語版では1951年生まれ)。ロンダ・バーンWikipedia
もともとはテレビのプロデューサーで、2006年にインタビューを集めた映画「ザ・シークレット」を制作。それを下敷きにして書籍の「ザ・シークレット」を書いた。(以上ザ・シークレットWikiより)
ロンダ・バーンと「ザ・シークレット」の一般知識はWikipedia を読んでもらったほうが手っ取り早いのでそちらを読んでください。要するに引き寄せの法則です。「ザ・シークレット」は「ザ・グレイテスト・シークレット」の帯の記載によると、2021年の時点で3500万部を売り上げているそうです。印税はいかほどか。勝手に想像すると、一冊100円としても35億円。映画や、その後の関連書籍の印税も含めると、彼女の手にした額は、もう一つゼロが多いかもしれない。
英語版Googleの画像検索で、ロンダ・バーンを検索していたら、彼女のカルホルニアの家が売りに出されているという記事が出てきた。そのお城みたいな家の売値は23億9000万だそうです。(ロサンゼルスタイムズ)。まさに引き寄せそのもの。
「ザ・シークレット」はどんな本かというと、いわゆる「引き寄せの法則」がシークレット(秘密)であり、それを24人の人の言葉を引用して裏付けする形式になっている。もともとは、秘密を知っている偉大なマスターたちを探してインタビューをするという映画がベースになっている。実際には秘密でも何でもなくて、何十年も昔からある「引き寄せの法則」を化粧直しして映画、あるいは本にしたにすぎない。
彼女の巧みなところは、そのパッケージ化の仕方と売り方。登場人物の大半は著名な作家か博士であり、昔からある手垢のついた本や人を登場させていないところ。いろんな博士や作家の言葉引用して、無理やり「引き寄せの法則」にしてしまう。
「ザ・シークレット」の中に、どれほど「非二元的な教え」が書かれているかと、読み直してみました。すると、不思議なことに、「非二元的な教え」と読み取れないこともないところが何か所かある。しかも、そこから「引き寄せ」のパワーがくるのだそうだ。
p256(以下引用部は太線で表示)
宇宙の一つの意識
ジョン・ハガリン博士
「宇宙は本質的に思考から発生しました。量子力学や量子宇宙学がこれを確認しています。私たちの周りに物質も凝結した思考から出来ているのです。究極的には私達は宇宙の源です。ですから、私達は自らの体験を通し、自分の力を本当に認識した時、その力を利用して、もっともっと多くの事を達成できるようになります。何でも創造してください。私達の内なる意識の場で全てを知ってください。それが最終的に宇宙を動かしている宇宙意識でもあるからです」
p258
「神の心は一つのもので、それだけが唯一の現実です」チャールズ・フィルモア
p261
ジョン・アサラフ
「私たちは全員繋がっています。それが見えないだけです。『あちら』も『こちら』もありません。宇宙の全てのものは繋がっています。ただ一つのエネルギーの場なのです」
私たちが全て一つだという観点から「引き寄せの法則」を考えるとその完璧さがわかるでしょう。
これで、なぜあなたが他の人に否定的な思いを抱いた場合に、それがあなたに戻って来て、なぜあなた自身を害するかが理解できるでしょう。私たちは一つなのです!
あなたが否定的な思いや感情を放射し、害を現実化しなければ、あなたは害される事はありません。あなたには選択する自由意思があります。あなたが否定的な思考をして、否定的な気持ちになると、こと一つであることや全ての善から自分を引き離してしまうのです。あなたには否定的な思考が、全て恐れに基づいていることがわかるでしょう。恐れは分離の思考、自分が他の人から切り離された存在だと思うことから来ているのです。
(このあとも非二元的ととれる文章が続くが、ちょっと長いので省略)
p278(秘密のまとめの中の一節)
私達はみんな繋がっていて、すべては一つです。
時々、ネット上で、「引き寄せの法則」と「非二元の教え」をごちゃ混ぜにしている人を見かけますが、ひょっとするとそれはロンダ・バーンからきているのかもしれません。私としては「引き寄せの法則」は「非二元の教え」とは相容れないと思っています。
他の四冊も内容を検証してみましたが、どれも完全な「引き寄せの法則」本です。
「ザ・マジック」・・・魔法の実習法の書。28日間の実習によって引き寄せる。
「ザ・パワー」・・・ザ・シークレットの続編。この本では、イエス、仏陀、ハーフェズの言葉までも引用して「引き寄せの法則」を補足している。
「ザ・シークレット日々の教え」・・・一日一ページの日めくりになった言葉で「引き寄せ」を実践する。
「ザ・シークレット人生を変えた人たち」・・・引き寄せた人たちの実例集。
五冊の本を検証してみましたが、ここまでのところでは、ロンダ・バーンは非二元の語り部ではなく、「引き寄せの法則」の人です。これを非二元について書かれた本だと読むのはかなり無理がある。そのロンダ・バーンが、「ザ・グレイテスト・シークレット」では非二元について書いている。
次回につづく。