2023/10/24

引き寄せの法則

私は、いわゆる「引き寄せの法則」を全く信じていません。「引き寄せの法則」というのは、強く信じていると、それが現実化するという教えです。この類の教えは、「引き寄せの法則」という呼ばれ方をされるはるか昔からあって、時代によって、体裁を変え、説き方を変えて繰り返し説かれてきたものです。

私の場合は、「引き寄せの法則」系の教えをもう50年以上前から知っていて、その教えを信じては捨て去り、またしばらくしては信じては捨て去るということを繰り返してきました。最初は父からでした。父は当時、「信念の魔術」という本を私に読むようにと勧めてくれました。当時まだ中学生だった私は、この本を読んで、強く心に念ずれば、思考は現実化するのだと思うようになりました。

病この治りやすきもの」という本は、「治る、治る」と念ずることによって、病気が治るという本でした。その他に、本のタイトルは思い出せないのですが、ジョセフ・マーフィーの本も父のすすめで読んだ記憶があります。

それから月日は流れ、30代の頃に、弟が癌を患ったため、なんとかそれを思考の力で治せないものかと思い、生長の家の本(生命の實相全40巻)や日本教文社の本をたくさん読みました。それも、思考は現実化するという類の教えです。

それからしばらくして、強迫神経症、いろんな悩みや苦しみの時期があり、それを思考の力で乗り越えられないものかとナポレオン・ヒル関連の本に凝った時期がありました。また、ワクワクしたことをやれば、願望が実現するというのも一種の引き寄せと考えるなら、広い意味ではバシャールも引き寄せの教えかもしれません。

そしてまた月日は流れ、お金にひどく困った時期があり、思考の力でなんとかならないものかと思い、エスター・ヒックス(エイブラハムの教え)やロンダ・バーンの本を読んだ時期がありました。でも、そうした本に傾倒しても、しばらく必死になってやってみるものの、しばらくするとやめてしまうのです。

どうしてやめてしまうのかというと、いくら信じても念じても、何も思い通りにならないからです。お金も健康も恋愛も、何もうまくいかなかった。今だって、経済的に裕福でもないし、あえて嫌いな表現を使うなら、人から見れば負け組。家庭を持たなかったおかげで、世界を回る長期旅行はできたのですが、それだって、いい歳をしてバックパッカー宿ばかり泊まる旅でした。

社会的な成功とは程遠い人生で、人生は苦しみの連続であるというのが私の人生観です。そういう人生観を持っているからそうなるのだというのが、「引き寄せ」本の常套句なのですが、初めからそんなふうに思っていたわけではなく、人生は思い通りになると思っていた時期もありました。でも、人生が思い通りにいっている人は精神世界の本なんか読まないし、引き寄せの法則なんかに興味を示さないのではないでしょうか。苦しいから、解放されたいと思ってあれこれの本を読み、探求をするのではないでしょうか。

もちろん今では、そんな「私」は実在ではないと知っているので、何も問題はありません。セイラーボブに出会えたのは友人のおかげですが、まったくの偶然であり、非二元の教えに出会いたいと思っていたわけではなく、むしろエンライトメントしたいと思っていました。それなのに、エンライトメントはないだなんて、ひどい。

引き寄せの法則は、非二元の教えとは関係ないと思っています。セイラーボブや、その関係者から、引き寄せの法則の話を聞いたことはありません。そもそも非二元の教えでは、私たちの生きている現実は幻想であり夢なのですから、その幻想や夢の中での成功を目指してジタバタするのは意味がないような気がします。それに、セイラーボブの教えでは、思考は起こってくるものであり、それを自分でコントロールすることはできないというのが基本です。

なぜこんなことを書いているかというと、カリヤニ、ピーターと話をした時、日本ではどんな非二元の本が読まれているのかと聞かれたため、日本で出版されている非二元の教師の名前を何人かあげたあとで、精神世界の本の中でも、非二元という分野はマーケットが小さくて、あまり読まれておらず、むしろ願望実現のためのロンダ・バーンのような本の方が売れている、ロンダ・バーンなんてちっともよくないと私は言いました。

すると二人が、驚くべきことを教えてくれました。ロンダ・バーンは、カリヤニのミーティングにも出たことがあり、カリヤニからいろいろと学んで本を書いたが、その本は引き寄せの法則のさらに上にある教えの本として、「ザ・グレイテスト・シークレット」を書いたというのです。

私が読んだのは「ザ・シークレット」が最後で、その後のロンダ・バーンの本は気にもとめていませんでした。ザ・グレイテスト・シークレットは2021年4月発行なので、最近はもうあまり精神世界のコーナーへは行かない私が知らないのも無理はありません。

それにしても、引き寄せの法則の教えのロンダ・バーンが非二元の教えの本を書くとはどういうことだろうと思いました。それまでの自説を曲げて、もっと上の教えがあるよなんて本を書く変節漢は許せないと思い、そんなのは良くないのではと言ったのですが、カリヤニはロンダ・バーンのことを悪くは言いませんでした。

家に帰ってからロンダ・バーンの本を読めばいいかと思い、それ以上のことは聞きませんでした。帰ってきてさっそく図書館へ行き、ロンダ・バーンの本を調べたところ、多治見市図書館には7冊のロンダ・バーンの本がある。非二元の本なんて、誰の本も一冊も置いてないのに、ロンダ・バーンだけで7冊もある。人間の欲望の深さが知れようというもの。

そのうち2冊は貸し出し中で、肝心のザ・グレイテスト・シークレットは貸し出し中だった。いつ返却になるかわからないので、しかたなく、ザ・グレイテスト・シークレットはAMAZONに中古を注文し、在架の5冊を借りた。

次回に続く。