冷蔵庫で食品を腐らす日本人 魚柄仁之助
食文化にまつわるエッセイ集。とても有益で、いろいろ考えさせられる本でした。
私は一年ほど前まで、徹底した糖質制限食を実施していました。糖尿病ではないのですが、食後に猛烈な眠気が襲い、時々は昏睡といっていいほど寝てしまう時があり、あれこれ調べて、食後の血糖値スパイクが原因であろうと結論し、糖質制限食を実施していました。
具体的には、豚肉を主食にして、多い時は毎日300g。その他には、魚、大豆製品、卵、チーズを食べ、オリーブオイルを30mlずつ飲んでいました。二年ほど続けたところ、定期検査でひかかり、肝臓の数値が要検査でした。
そこでまたあれこれ調べたところ、肉や油物ばかり食べていると、肝臓に負担がかかるということがわかりました。また、肉食は大腸がんのリスクが高まるということも知り、糖質制限はやめてしまいました。
糖質制限推進派の人たちの本には、沖縄の人たちは豚肉をたくさん食べているので長寿だというものがあります。ところが、この本の中で、魚柄さんが沖縄で調査した報告が書かれていて、沖縄の高齢者はほとんど豚肉を食べていないとあり、驚きました。
同様に、私が今まで信じてきた食の知識を根底からひっくり返すような事実があちこちに書いてあって驚きました。マスコミで垂れ流しになっている食情報は、決して正しいものばかりではないということがよくわかります。
それと、おおいに参考になったのは、魚柄さんの食事の内容。一日1.5合の白米と根菜が中心で、魚と肉はほんの少し。肉にいたっては私の四分の一以下。魚も二日に一切れぐらい。幅広くいろんなものを食べるという食生活。私は米以外は食べ過ぎでした。
魚柄さんに言わせると、現代人は肉や魚を食べ過ぎていて、それを消化するためにエネルギーが必要で、かえって体に悪い食生活をしているという。私は魚柄さんの食生活を真似ることにしました。今よりもお米を食べ、根菜や乾物をたっぷり食べ、肉、魚は減らす。食費もぐんと安くつく。
冷蔵庫で食品を腐らせない日本人 魚柄仁之助
食品を長く保存するためにはどうしたらよいかをイラスト入りで解説してある。とても分かりやすい。干し野菜、みそ漬け、醤油づけ、ぬか漬け、魚の酢じめのやり方など、ためになることいっぱい。図書館で借りたのですが、座右の書とすべくアマゾンで注文しました。冷蔵庫に味噌漬けや干し野菜の容器が増加中です。じゃがいも、さつまいも、カボチャなど干し野菜にして食べるようになってから、お通じがよくなり、驚いています。肉中心の時とは大違いです。糖質制限中の二年間は芋などの炭水化物は厳禁だったので、ずいぶん体に悪い事をやっていたなあと反省。でも、糖尿病の人には糖質制限は有効な方法だと思います。その場合は、肉や油脂製品ばかり食べるのではなく、魚や大豆とバランスよく食べる方法が良いと思います。
丸ごと魚柄仁之助 魚柄仁之助
魚柄さんの自伝的エッセイ。魚柄さんは、中学生の時、キャンプ中の事故で針金が目に刺さり、片目を失明してしまう。片目を失明してしまうようなことが起こるということは、死ぬことだって簡単に起こると達観。もう好きなことをやって生きていこうと決意する。以降、毎日ギター三昧の日々。大学在学中もギターとバイクの日々。
宇都宮大学在学中にバイク店を経営。その後、大学を中退して骨董品屋を始め、中古ギターなどを売って儲ける。傍らで、食文化の研究をやり、本を書いたところベストセラーになる。以降、講演、著述業、漫画原作者として現在に至る。
魚柄さんの成功の原因はいろいろあると思うが、成功を追い求めたのではなく、自分の好きなことをとことんやったことと、その時々で出会う人や仲間を大切にしたこと。成功は人が運んでくる。そして今もパートナーや仲間に囲まれて悠々自適に暮らしている。
学ぶべきところいっぱい。私は人並み以上に努力するタイプだけど、誤努力の天才とでもいうべき存在で、まわりが見えておらず、人を大切にしてこなかった。魚柄さんをおおいに見習いたい。
儲け道 魚柄仁之助
不確実な現代において、サラリーマンとしてではなく、自営業者としてどうのように商売をやっていくといくと成功するかを書いた指南書。魚柄さんがやってきた、自転車屋、骨董商、物書きとしての経験談を中心に、どうすると、儲けることができるかを書いたもの。ちなみに魚柄さんは、毎年数千万円の収入があるという。
成功の秘訣としては、アイデアが浮かんだら即実行すること。自分の適性を知り、儲かるかどうかをよく考えること。そして何より大事なのが、人を大切にすること。人とのつながりが商売の成功に導くという。
私は今から何か商売を始めようという気は毛頭ないし、年収ん千万欲しいとは思っていないが、生き方の指南書として多いに参考になったし、おもしろかった。やっぱり人間関係や信用が大切だということは参考になった。
魚柄さんには、ただ金が儲かればいいというような発想はなく、美学のようなものがある。株や投資であぶく銭を稼ごうなどという気は毛頭ない。すばらしい。
裏儲け道 魚柄仁之助
裏、といっても、何か秘密の方法が書いてあるわけではない。日常生活で、こう発想を変えれば特をするよ、というようなことが書いてあるエッセイ集。魚柄さんの真似をして食生活を変えた。まだ始めたばかりなのでよくわからないが、たしかに食費は安くつく。買い物もそんなに行かなくてすむ。ご飯と根菜をいっぱい食べて、魚はほどほど、肉は少し。はたして健康に良いかはまだわからない。
私は欲望を追わない人生をモットーにしているので、お金儲けのために魚柄さんの本を読んだわけではありません。人間関係の指南書として読み、おおいに役にたちました。
一年間10万円つくる、食べる、もてなす365日全記録 魚柄仁之助
魚柄さんが実際に食べた毎日の食事を記録したもの。具体的に何をどう食べたのかが気になって買った。一日につき一食分のメニューは書いてあるが、細かい分量やレシピが書いてないので、具体的にどんな食材をどれくらい食べたのかは書いてない。どちらかというと、誰とどこで何を食べたかという日記になっている。想像していたものとは違って、ちょっと期待はずれ。
穀物と野菜は毎日しっかり食べているということだけはわかった。一年10万円の食費ということは一か月9000円弱。その金額から考えると、食べている量はそれほど多くないはず。それにしても、毎日毎日いろんな人に会い、たくさん酒を飲んでいる人だなぁ。こんな毎日だったら楽しいだろうなぁ。