2022/03/05

華厳

華厳経とは何かというと、奈良の大仏様のもととなった経典です。
では奈良の大仏様(毘盧遮那仏)とは何か?
あれは釈尊そのものではありません。

吉田叡禮さんの説明によると、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ、略して盧遮那仏:るしゃなぶつ)は釈尊が悟った「大宇宙の真理」のことを言うそうです。すべての仏の集合体と言ってもいいし、宇宙にまんべんなく広がるパワーと言ってもいい。そういったものの象徴としての仏だそうです。(ようわからん)

華厳経とは具体的に何かいうと、もともとはインドにあった経典の一部を、四世紀末から五世紀初頭に中央アジアのコータン(現在の新疆ウイグル自治区)で編纂されたと言われています。

華厳とはどう意味かというと、華(はな)で厳か(おごそか)に飾ると言う意味。華厳とは、花で飾られた荘厳な仏の世界の教えという意味。

華厳経に何が書かれているかというと、大きく分けると四つの要素からなる。(実際に教えを説くのは廬舎那仏ではなく、脇を固める菩薩が説いていきます)

①廬舎那仏が不動のまま地上から天へ行って、また地上に降りる。
釈尊が菩提樹の下で悟りを開くと、釈尊は動かないけれど、廬舎那仏は7つの世界を移動する。

②「蓮華蔵世界」を中心とする宇宙観
蓮華蔵世界の説明

③華厳の哲学的世界観

④善財童子が53の師に会って修行をする話。

私が華厳経の中に非二元があるというのは、③の部分です。
華厳経の中には様々な思想が説かれています。唯心、如来蔵思想、空もあります。その中でも中心となる思想は「一即一切・一切即一:いっそくいっさい・いっさいそくいち」「一入一切・一切一入:いちにゅういっさい・いっさいいちにゅう」「事事無碍法界:じじむげほっかい」「融通無碍:ゆうづうむげ」です。

「一即一切・一切即一」「一入一切・一切一入」とは何かというと、「一つのものが全部・全部が一つのもの」「一瞬が全体であり、全体が一瞬である」という意味です。「事事無碍法界」とは、事物と事物とが、さまたげなく溶けあっている世界。

今回は私が説明するよりも、専門家にお願いすることにしました。

華厳経の世界観1「唯心思想」吉田叡禮

唯心の思想というのは、他の多くの仏教の根底にあります。空の思想も同様です。

華厳経の世界観3 「ミクロとマクロ」吉田叡禮

華厳の教える世界は、宇宙の隅々まで、どこへ行ってもそこには仏がいる世界です。
これはまさしく非二元の世界ではないでしょうか。

吉田叡禮さんのYouTubeチャンネルはとても勉強になります。吉田叡禮さんは、華厳経と中国の初期の禅が専門だそうです。華厳経を詳しく知りたい方は、華厳に関するものを順番に見ていくといいと思います。専門に学ぶ学生向けのものが多く、ちょっと難しいかもしれません。

参考文献
仏教の思想 6 無限の世界観<華厳> (角川ソフィア文庫) 
講座・大乗仏教 3 華厳思想 
『華厳五教章』を読む 
華厳とは何か 〈新装版〉
華厳思想 (1960年) 
華厳の思想 (講談社学術文庫) 
鈴木大拙全集〈第5巻〉般若経の哲学と宗教.華厳の研究.金剛経の禅.楞伽経.楞伽経研究序論 (1981年)

参考サイト
NHKこころの時代:さとりへの道―華厳経に学ぶ(652回~657回)