2021/10/09

仏教を学ぶことの意味

仏教について書きますとブログに書いてから、あれこれと本を読んだり、YouTubeを見たりしていますが、それほど簡単なことではないとわかって、少しへこんでいます。

仏教は時代とともに変化しています。多様すぎるのです。唯識(ゆいしき)、禅のことを中心に書こうと思いましたが、禅や唯識のことだけをピンポイントで書いても、何のことやらよくわからない。

そのため、初期仏教(お釈迦さまの直接の教え)から書いていかないといけない。初期仏教では個人の修養、修行に重きを置いていて、そこには空の思想や唯識の思想はありません。初期仏教と、唯識や禅とでは、言っていることがかなり違う。

それでも、初期仏教(原始仏教)の根底にも非二元的な要素があるので、初期仏教も書くべきだと思うようになりました。何冊かの本を読んで、初期仏教について何回分かを書いてみたのですが、あまりうまくいっていません。そのため、最初の方は解説的で退屈になるかもしれません。

仏教で使われる言葉の定義や、経典に書かれていることの解釈が、学者によって違うし、本によって様々です。最大の問題は、私が直接仏典を読むことができないということです。

南方(スリランカ・東南アジア)に伝わった初期仏教の仏典(経・律・論)はパーリ語が読めないと読めません。北方(中国)に伝わった仏典はサンスクリット語、漢文が読めないと読めません。結局、私が読むことができる資料は、日本語で書かれたものであり、たいていそれは日本人学者によって書かれた解説書です。

仏教に対する私の解釈は学者の解釈を全面的に採用するしかないのですが、それが多様で、どれを採用すればよいのかよくわからない。書籍も膨大で、何を読んでいいのかわからない。キリスト教の聖書のように、定番の聖典があるわけではないので、どのお経が仏教の神髄なのかわからない。

本を何冊か読んだ程度で、仏教について書こうというのは間違っていると気づきました。それでも、仏教の根底には非二元があるということはわかるので、何とかしてそのあたりのことを書きたい。

それで、仏教を学ぶことの本質、意味とは何だろうかと考えるようになりました。
その前に、非二元を学ぶことの本質、意味は何だろうかと考えてみると、それは「私が私だと思っている私は実在ではない」ということを理解することだと思います。

「私が私だと思っている私は実在ではない」ということがわかるとどんな良いことがあるのか。引き寄せの法則が働いて、何かが手に入るとか、悩みがスーっと消えて楽になるとかということはありません。成功や名誉などの現世利益的なものを手に入れることができるわけではないし、問題解決の即効性もありません。

あえて言うなら、起こっている問題に対する捉え方が変わる、悩みに対する距離ができる、ということだと思います。そこに「私」がいないのなら、悩んでいるのは誰なのか、問題など何もないではないか、ということになり、それが解放をもたらす鍵だと思います。

初期仏教(釈尊の直接の教え)の仏教観を誰かから学びたいと思ってYouTubeをあれこれ見て、花園大学の佐々木閑先生がYouTubeで講義してみえるのを知り、そこで学ぶことにしました。このYouTubeは、もともとはコロナで大学の講義が休みになったことから、講義のかわりとして学生向けに始められたものですが、ありがたいことに一般の人にも無料開放してみえます。(佐々木閑先生のYouTubeチャンネルの目次)

そこには300本ちかい動画があり、今も二日に一本程度のペースで更新してみえます。先生の専門は、原始仏教の律(僧侶が守るべき法律)の研究であるため、釈尊の教えを学ぶのに最適です。ノートを取りながら全部の動画(パーリ語の学習講座を除く)を三回見ました。そして今も更新される動画で学んでいます。

私の初期仏教(釈迦の直接の教え)に対する理解は、佐々木閑先生からのものです。私は先生のファンになりました。著作も何冊か読ませていただきました。もし、このYouTubeがなかったら、初期仏教に対する理解がうまくいかなかったのではないかと思います。時間のある方は、ぜひとも第六シリーズまででも見ていただくと、初期仏教の根底に非二元的なものがあるということがよくわかると思います。

そんな時間はないと言われる方は、私がブログに張り付ける先生のYouTubeだけでも見ていただくようお願いします。今回、YouTube からの貼り付けを多用しますが、それをとばしてしまうと、理解が難しい部分があると思います。

仏教を学ぶことの意味、その行きつく先は何かということについて、佐々木先生はYouTubeの中で、「自分という実在はないというこの世の真理を知ることなんです」と言ってみえます。

佐々木閑の仏教講義「ブッダの教え 18」(「仏教哲学の世界観」第4シリーズ)


参考文献 (私が読んだ佐々木閑先生の著作)
仏教は宇宙をどう見たか: アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN文庫)
日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)
いずれも有益で参考になる本ばかりです。

参考サイト
佐々木閑先生出演。好きなことを存分にやっていいと勇気づけられました。