この本は絶版です。翻訳者が変わり、新版として、
があります。私が読んだのは旧版です。
バイロン・ケイティについては、セイラーボブのミーティングで参加者の何人かが話したことがあります。また、ザ・グレイテスト・シークレットの賢人としても取り上げられていて、引用された言葉に感じるものがあったため、本を読んでみました。念のために書いておきますが、バイロン・ ケイティは非二元の教師という範疇には入らないし、非二元そのものを教えているわけではありません。でも、教えていることは、非二元の根幹となる教えに通ずるところがあります。
本の内容は、バイロン・ケイティが、「ワーク」と呼ぶ方法で悩みを抱える人を癒しへと導く実際のやり取りを記録したものです。悩みの内容は様々で、対人関係、家族との関係、レイプ、虐待、戦争の記憶、愛する人の喪失など、多岐にわたります。
ワークがどんな方法なのか、バイロン・ケイティとはどんな人なのかは、日本語のホームページがあるので、そちらを読んでもらった方が正確かと思います。
ワークの具体的なやり方は、このホームページにあります。それを読めば、一人でワークができます。やり方は簡単で、ホームページにあるワークシートに自分の思いを書き込み、一つ一つの書き込みに四つの質問を自問します。そして、質問を入れ替えて、それが本当に事実なのかを確かめていきます。
ホームページの上段に、「その考えがなければ、あなたはどうなりますか?」という言葉あるとおり、自分の悩み、恐れ、苦しみは、自分が生み出しているものだということを気づかせるための方法がワークです。
非二元の教師たちは、「私」を根こそぎ消すことによって悩みや苦しみを解決しようとしますが、バイロン・ケイティは逆に、個々の悩みや苦しみを詳しく調べることによって、それは単なる思考(思い込み)にすぎないということを理解させます。
「私」がなかなか消えない人、「私」はいないと理解しても、個別の問題をどうしていいのかわからない人にとっては、バイロン・ケイティのやり方は有効だと思います。
私もワークをやってみようと思ったのですが、今現在、何か大きな悩みや問題を抱えているということはありません。セイラーボブを学んだことで解消された部分は大きいのですが、今現在、悩ましい対人関係はなく、わずらわしい仕事についていないというせいもあると思います。
それでも、せっかく本を読んだのだから、何か試してみたいと思って、いくつかリストアップしました。嫌な思いをしたまま放置している対人関係、体のこと、傷つけた人のこと、恥ずかしい思い出、後悔していること、最近冷たいのではないかと思う人のこと。ホームページから「ジャッジメント・ワークシート」をプリントアウトして、いちいちの問題を書き込み、やってみました。
やってみてわかったのですが、「ジャッジメント・ワークシート」を書いた段階で、いくつかの問題はクリアになり、それだけで十分なものもありました。そして、四つの質問をしていくうちに、問題の根本は私の思考にすぎないということに気づかされます。何かをする必要も、誰かを責める必要もないということがわかってきます。
私の場合、書き出した問題が、どれもそれほどシリアスな問題ではないせいもあって、それほど難しくはありませんでした。大きな問題を抱えて、それこそ狂いそうな毎日を生き延びていた昔に「ワーク」を知っていたら助けになったかもしれないと思います。
この本には、そんなことをやれとは書いてないのですが、誰か他の人から悩み事の相談を受けた時に、この方法に沿って相談に乗ってあげるのはとても良い方法だと思います。私の身近に介護をしている人がいて、時々介護の悩み事の相談を受けることがあります。
先日、電話がかかってきて相談を受けたので、ワークシートに書いてあるようなことを聞いたあとで、四つの質問や入れ替えをやってみました。細かくやったわけではなく、アレンジして、短くやりました。そうしたら、最後に、「よくわかった。そのままにしておく」と言われました。
人間は自分のことだと客観的に物事を見ることが難しいけど、人のことだと簡単になります。誰かから悩み事の相談を受けたら、この方法が役に立つのではないかと思います。悩んでいる人がいると、非二元の教えを説きたくなるのですが、「私」はいないなんて話をしても嫌われるだけで何の役にもたちません。でも、この方法なら、十分に相手の役に立つと思います。そして、これは根本的には非二元の教えと同じことを教えています。
ホームページに参考になる動画がありますが、YouTubeにも参考になる動画があります。
バイロン・ケイティのワークチャンネル(日本語字幕付き)
これはなかなか良かったです。
ワークの実際の様子は、バイロン・ケイティのワーク 思考という刑務所 パート1から5までを見るとわかりやすいです。
バイロン・ケイティ(英語版Wikipediaなどを参考に補足)
Byron Kathleen Reid 1942年12月6日アメリカ生まれ 80歳。 「バイロン・ケイティのワーク」または単に「ワーク」として知られる自己探求法を教えるアメリカの講演者、作家。バイロン・ケイティ・インターナショナルの創設者。タイム誌は彼女を「21世紀のスピリチュアル・イノベーター」と評している。
1986年、43歳で3人の子供をもうけ、2番目の夫と不幸な結婚生活を送っていた彼女は、うつ病、広場恐怖症、過食に苦しみ、コデイン(薬)とアルコールで自己治療をしていたと言われている。保険会社に助けを求め、ロサンゼルスの女性カウンセリングセンター、ホープ・ハウスを紹介された。自宅で2週間自分を見つめ直した後、自分の考え方に啓示を受け、長年の信念の有害な影響に挑戦し、それを軽減する方法を生み出した。
自分の哲学について話し合う非公式な会合を開き始め、1990年代初頭には、より正式なワークショップを開催し始めた。ビジネス・セミナー、学校、病院、教会、刑務所など、世界中のあらゆる場所で「ワーク」を実践している。