人生後半、そろそろ仏教にふれよう (PHP新書)
私はこのブログで佐々木閑先生のYouTubeをいくつも転載させていただいているとおり、佐々木閑先生の大ファンです。佐々木閑先生のYoutubeは、かたっぱしからほぼ全部見ているし、本も何冊も拝読させていただいています。
それで、仏教のことは、まあだいたいわかっているつもりでしたが、この本を読んで、改めて仏教の成り立ち、日本に入ってきた経緯などを復習させていただきました。忘れてしまっていることもたくさんあって、とても参考になりました。この本は仏教のこと、特に原始仏教のことを詳しく知りたいけれども、何から学べばよいのかわからないという人には、わかりやすいダイジェストになるのではないかと思います。
そして、本当の仏教が教えていることの神髄を単刀直入に学びたいという人には、非常にわかりやす本になっています。それは、諸行無常であり、諸法無我です。そしてそれはこのブログのメインテーマである非二元の教えの神髄と同じものです。古館さんは、諸行無常、諸法無我をよく理解してみえて、そのうえ佐々木閑先生を師とされたことがすばらしいと思います。
私は仏教の教えていることは根本的には非二元の思想と同じであり、とても素晴らしいと思っているのですが、それはあくまでも、佐々木閑先生を通して学んだ仏教に関してだけです。もちろん、横田南嶺老師や唯識の思想から学んだこともたくさんありますが、それも佐々木閑先生なくしては理解しえなかったと思います。
この本は参考になることがたくさんあります。一つとても印象に残ったのは、古館さんの話。古館さんがまだテレビ局のキャスターをやっていたころ、アマゾンの原始部族の酋長の取材に行って、文明とはかけ離れて暮らす部族の人にとって、幸せとは何なのですかという質問をします。すると酋長は何人もの通訳を介して、私には幸福という言葉の意味がわからないので、その問いには答えようがないと答えます。
そして佐々木先生はこの話に対して、幸福を求める状態が不幸なのですと答えてみえます。私はこの話がとても印象に残りました。
第1298回「そろそろ仏教にふれよう」2024/7/27【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師